2008年4月23日水曜日

薬価とは?

薬価とは、病院の薬の値段のことです。
病院や薬局では、この値段をもとに会計し、その一部を外来窓口で請求します。
おおまかにいえば、1錠10円の薬を、1回1錠、1日3回、7日分の処方で、合計210円になるわけです。ただし、実際にはかなり複雑な料金体系となっています。
処方せん料や、調剤料、指導管理料などいろいろな技術料も加算されます。
病院から薬をもらう場合と、処方せんで薬局からもらう場合とで会計が一致しないのは、薬の計算方法や技術料が異なるためです。
さて、薬価は、国(厚労省)が決める公定価格であり、その決め方には一定のルールがあります。
新薬においては、研究開発費などのコストが考慮されますし、今までにない画期的なものであれば、そのぶん薬価が高くなります。
このような新しいオリジナルの製品を、薬価を語るうえで「先発医薬品(先発品)」と呼ぶことがあります。
先発品は、一連の臨床試験を通し、作用や効果が実証されていますので、その信頼性は高いといえます。
一方、新薬(先発品)の特許切れのあと、おおよそ20~25年後に発売される同一成分の同種同効薬を「後発医薬品(後発品)」とか「ジェネリック医薬品」といいます。
中小の製薬会社からゾロゾロと発売されてくるので、裏言葉で「ゾロ品」と呼ぶこともあります(いろいろな意味でマイナスイメージが強かったものです)。
後発品は、開発経費がかかりませんので、先発品に比べ薬価がたいへん安く経済的です。
欧米では、後発品が広く浸透し、その割合は半分以上になります。
ところが、日本では後発品の使用割合が低く、その普及は遅れています。
そこで、平成14年の技術料の改訂で、後発品の処方せん料が優遇される後発品使用促進策が盛り込まれました。
薬価の安い後発品の浸透をはかり、医療費の抑制につなげようというわけです。
さらに平成18年4月からは処方せんに『後発医薬品への変更可』という欄が設けられ、ここに医師が署名をすれば、薬剤師は適宜適当な後発薬を選び処方できるようになりました。
ところで、医療機関では薬を薬価よりも安い値段で仕入れています。
したがって儲けがでます。
いわゆる「薬価差益」です。その仕入値はまちまちで、メーカーや卸との交渉にもよります。
かつて、薬価差益率30%とか40%というのはざらで、病院の大きな収入源となっていました。
使えば使うほど儲かるわけで、薬漬けにつながるという指摘があったわけです。
さすがに最近は、たびかさなる薬価の引き下げで、先発品など薬価差10%そこそこという感じです。薬価差の縮小は、街の薬局に処方せんを出す要因にもなっているのです。
薬価は、2年毎に改訂されます。
これは、国の医療費抑制策の一環でもあります。
事前に医療機関の仕入値が調査され、これを参考に国が決めます。
安値で販売されている薬は、そのぶん薬価の引き下げ幅が大きくなるものです。
したがって、同じ成分、同じ効能の薬でも、薬価に差がつくことになります。
医療の進む方向性は、規制の緩和や情報公開、カルテ開示、そして患者が参加し選ぶ医療です。近い将来、医師もしくは薬剤師が示した同種同効薬、あるいは同類同効薬のなかから、患者さん自身が薬価の違いを考慮し薬を選ぶという場面もきっとでてくることでしょう。

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